スタッカート

身に纏う黒いオーラに、思わず体が震えた。

言葉が、出てこない。

そのまま、乱暴に軽音部のドアに肩を押し付けられ、予想通りの物凄い形相で見下ろされる。


もうなんだか。


…生きた心地が、しなかった。
心も体もガチガチに固まって、上手く機能してくれない。

自然と顔が下を向く。
けれどすぐに顎先を掴まれる。
伏せていた目を上げる。

目が合う。

―思考が、停止する。


「―何で来た」

「……」

「…オイ」

「……」

「お前―」

「謝りに!!」

やっとの思いで搾り出した言葉に、トキの肩眉がほんの少しだけ上がる。
私は一瞬薄れた黒いオーラに、今だ、と飛び込んだ。


「この前音楽室に来たときに、出てってとか言ってごめん!!」


言ってからトキの顔を見ると、トキは苦々しい顔をして私から目を逸らしていて。
それに首を傾げると、

次の瞬間、トキの顔が急接近してきて―




「ちょおお!待って待って待ってええええ」






私の叫びも虚しく、


ゴツン、という鈍い音と共に



……額に、頭突きをお見舞いされた。




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