夕暮れ行進曲
「キレてないけど。」

 こんなはずではない。俺はただ「逃げちゃえば?」って立花に言ってやろうとしただけだ。
このままだと喧嘩にでもなりそうだ。

「・・・・・」

 立花は黙ってしまった。

「・・・・なんでポマードの宿題忘れんだよ。」

「忙しかったの。じゃあなんであんたは寝たわけ?」

「あ~、それ聞いちゃ終わりでしょ。」

 俺は馬鹿っぽく頭を掻く素振りをした。
ウケない。立花は相変わらず苦い顔をしている。
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