つま先立ちの恋

フー……

私はそれがとても悲しくて、目の焦点も合わないくらいに悲しくて。

だけど…、


「…座れ。」


短いフーの言葉に、ハッとする。気が付くとフーは目の前のイスにすわってくれていた。


何度かまばたきを繰り返してみたら、目の端が濡れているみたいだった。

そっか。フーのことがぼやけて見えたのはそのせいだったんだ。

私が何も言わないまま立ち尽くしていると、フーはもう一度言った。

「…座れ」

瞼を落としてそう言ったフーの顔は、とても疲れているようだった。

< 148 / 468 >

この作品をシェア

pagetop