つま先立ちの恋
勢いと迫力に一瞬にして逃げ腰になる私とパペちゃん。そんな私たちの方へ葵ちゃんはツカツカと歩いて来ると、

「どこ寄り道してたの!」

葵ちゃん、なんかお母さんみたいだし。だからつい条件反射でビビっちゃう。

「ごごごめんなさい! 購買寄ってパン買ってました」

『どうぞ!お納めください!』

長い髪が逆立つかのようなピリピリオーラを放つ葵ちゃんの前に、はは~、と深く頭を下げて紙袋を献上すると、どうやら葵大魔人様は心が揺れた様子だった。

私とパペちゃんはほっとしてニヤリ。顔を見合わせた。
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