つま先立ちの恋
「ところで灯歌ちゃん、私たちに頼みたいことって?」

葵ちゃんの一言に、二人を呼び出した理由を思い出す。

『まさか今年もアレをやれと?』

姿勢を正した私の顔の前に、カエルのパペット人形が突きつけられる。

私はえへへ、と努めて可愛く笑った。

「その、まさかです…」

葵ちゃんとパペちゃんがまたもや顔を見合わせた。

「今年は何か秘策でもあるの?」

『あるわけないよ。灯歌ちゃんはいつだって正面突破だもんね』

「カエルくん、うるさいよ」

えぃっ、とカエルの額にデコピンしてやる。

『あいたっ。動物虐待だっ!』

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