つま先立ちの恋
「灯歌ちゃん、、、」

「帰り道ね、その日にあったことを思い出してたら、いつの間にかフーのこと考えてたんだ、私。フーだったら映画は何を観たかったかな、とか。お休みの日はどんな服なのかな、とか。待ち合わせはどこにしようかな、とか………

和泉と一緒だったのに、私の中、やっぱりフーでいっぱいで、、、やっぱりフーを忘れるなんてこと、できないってわかったの」

鼻の穴に水がたまる。私はそれをすすり上げながら、垂れないように手の甲で拭った。

そんな私を慰めるように葵ちゃんの手がそっと背中を撫でてくれる。

「そっか。やっぱり灯歌ちゃんはフーさんが一番だってわかったんだね」

コクン、頷く。


…………… だけど。



私はそれを和泉に言うのが怖かった。


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