つま先立ちの恋
「和泉君にきちんと言わなきゃね、灯歌ちゃんの気持ち。もちろん和泉君は知ってるだろうけど…」

「でも、なんて言えばいいの? 私は和泉の気持ちには応えられないって言えばいいの? だって和泉は私の気持ち知ってるのに。今更それを言ってどうなるの?」

『だけど言わなきゃ。和泉君の気持ちだって灯歌ちゃんは知ってるんだから』

「知りたくて知ったわけじゃないもん」

「そうだけど…」

「それに、それに…!もう和泉とは友だちにも戻れないかもしれない。和泉はもう私と口利いてくれないかもしれない。笑いながら冗談とか言ってくれないかもしれない。私、どんな顔して和泉と接していけばいいの?」

和泉は友だちだ。誰よりも気の合う男友だちだった。そんな和泉を失わなきゃいけないなんて。

私が和泉を振ったらきっと、あの頃みたいに楽しい時間は戻らない。

あの頃みたいにただ笑って過ごしていた時には戻れないんだ。

ううん、それだけじゃない。


「和泉はもう、私のことイヤになってると思う、、、」


絞り出した声は自分でも知らない音をしていた。

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