つま先立ちの恋
「………ヒカルちゃん」

いつから、と続けようとしたけど声が出てこなかった。名前を呼ばれたヒカルちゃんは眉根を引き絞り、キツイ表情で私を見る。

「サイテーだね。和泉君の気持ちから逃げるんだ。どんだけ和泉君をバカにしたら気がすむの?」

ヒカルちゃんの言葉が胸に痛い。私は奥歯を噛みしめてこらえる。

「和泉君は最初から覚悟の上だよ。そんなこともわかんないの? 和泉君は自分が傷付くこともちゃんとわかった上で告白したのに、なんで逃げるの? 和泉君の気持ちと向き合う覚悟もないくせに、利用したとかしないとか、都合のいいことばかり言わないで」

それだけ言うとヒカルちゃんは、最後に私を無言のまま睨み付けて去って行った。長いポニーテールを揺らしながら。

私はうつむく。

相変わらず、ヒカルちゃんの言うことは堪える。

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