つま先立ちの恋


「その車、ちょっと待ったあぁ~!」


ビルのロータリーから走り出した黒塗りの車に向かって叫び声を上げる。

見つけた、フーの車!

声だけじゃ追いつかない。私はその車を追いかけて走り出す。これで今日何回目の全力疾走だっけ? やるときゃいつも本気だけどさあ!


あぁ、でも行っちゃう!
待って待って!
お願いだからお待ちください!


「…てか、待てって言ってんだってばこんちくしょーっ!!」


そんな私の純真無垢な願いが届いたのか、大通りに出る手前で車は停車してくれた。この先の信号が青なのか、フーの車は入るタイミングを伺っているみたいだった。


チャンス!
ありがとう神様!!
追いついた!!!


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