つま先立ちの恋
「ヒカルちゃん…」

「いつも…灯歌ちゃんはいつもそう。そうやって知らない顔して、私は純粋ですって顔して。みんながみんな正しいことしてると思ってる」

「ヒカルちゃん…?」

「一緒にいると自分が醜くなってくの。嫌な気持ちでいっぱいになってくの。なのに、なのに…!」

「ヒ、「触らないでってば!」

振り向いた瞬間、私の手の甲に温かい何かが飛んできた。ヒカルちゃんは体ごと私にぶつかってきて、そのまま出て行こうと走り出す。

「待って、ヒカルちゃん!」

私の声にピタリと足を止めたヒカルちゃん。だけど、

「…あの子たちの言ってたことは本当だから」

肩越しに。振り返らないまま言う。

「ジャージは私が弁償する」

そして、そのまま出て行ってしまった。


残された私は息をすることすらも忘れてしまうほどの衝撃を受けていて、しばらくしてから思い出したように叫んだ。

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