つま先立ちの恋
あの後、待ち合わせ場所に私がいなかったことを心配して探しに来てくれた二人と合流した時からずっと私は頭に血が上った状態が続いていた。学校からドーナツ屋へ向かう道も、ドーナツ屋で注文する為に並んでいる間も、テーブルに付いてからもずっとずっとずーっっっと話しっぱなしだった。それが今、ようやく落ち着いた。

正直、話していいのかどうか頭の片隅でほんのちょびっとくらい考えたけど、ヒカルちゃんは別に誰にも言わないでって言わなかったし、それに葵ちゃんとパペちゃんなら信じられるし。

…てかっ、吐き出さないとこっちの身がもたなかったんだ、本当は!


てなわけで、私は喋りっぱなしでからからの喉を潤す為に紅茶を口に含んだ。そして、

「…ぬるい。」

白いマグカップの中の紅茶はもう冷めていた。


「…しかし、ヒカルちゃんがイジメにあってたなんてね~。気付かなかったなぁ」

葵ちゃんが眉間に皺を寄せながら呟く。

『まあ、モデルやってるしね。それだけで充分妬みの対象になるから…有名税みたいな物だよ』

パペちゃんの左手にいる牛くんが葵ちゃんに話しかける。右手にはドーナツ。

「それに、和泉くんが絡んでるっていうのも本当なの?」

「……………、みたい。」

渋々頷く私。だって、できるなら認めたくないんだもん。だけど、

「そう言われた」

そう。はっきりと言われちゃったから。認めないっていう方が無理。

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