つま先立ちの恋
葵ちゃんは私と目が合おうとにこりと笑って、

「ん~、Dポップが売り切れだったのは残念だけど、やっぱりこのモチモチ感はたまんないね」

毎度のことだけど、こんなに幸せそうな顔して食べる人は他にいないと思う。大人っぽい表情だってするくせに、食べてる時は子どもみたいなんだよね。でも、だからこそ癒されるのか。

「灯歌ちゃん、一個食べない?」

私に向けられる葵ちゃんの笑顔。なんか、…なんて言うか…

「…うん。ちょうだい」

「どっちにする?」

「じゃあ、チョコ」

「はい、どうぞ~」

まんまと鎮火する自分がいて、ちょっと悔しい。それから恥ずかしい。これじゃあどっちが子どもなんだかって感じだ。でも、

「おいしい?」

「………うん。」

ここに葵ちゃんがいて良かったかも。私はドーナツをかじりながら、頬を染めた。

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