つま先立ちの恋

う~、緊張して今すぐにでも叫び出したい! けど我慢! 見つかって追い返されちゃったら意味ないし!

私は観葉植物の葉の隙間から前方を確認しながら。パペちゃんは時々後ろを振り返っては、誰もいないことを確認しながら。私たちはフーの部屋にたどり着くまで誰とも会わないように、慎重に慎重を重ねて前進した。


やがて、一枚の分厚いガラスドアが見えてくる。その向こうに木目調のドア。あれがフーの部屋だ。


「発見!」

思わず声を上げてしまった私の口を牛くんが文字通り体をはって覆い隠す。「ごめんごめん」と目で謝ると、ようやく口が解放された。

「ごめん、つい興奮しちゃって…」

『ここまで来てつまみ出されたら、せっかくの努力が水の泡だよ』

「ごめんってば」

しゃがみ込み、額を付き合わせるほど近くでコソコソ話。

私は鞄の中から今度こそ本命チョコを取り出した。



・・・ようやく、フーに手渡しできるんだ。



考えたらまた興奮してきて、今すぐにでも叫びたくなった。

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