つま先立ちの恋
私も葵ちゃんもお互いの顔を見合わせるような余裕もなく、ただパペちゃんのつぶらな丸い瞳を見つめ続けた。パペちゃんは少しも顔色を変えることなく、言葉を続ける。

「でも、まあ、あの連中がヒカルちゃんの反応を楽しんでたのは事実だろうね。そういう人間だから、あの人たち」

「え……、」

微かに漏れたその一声は私のものなのか、それとも葵ちゃんのものなのか。はたまた二人のものなのかわからない。

だけど、パペちゃんはそのまま、思いもよらないことを口にした。

「さっきね、クラブハウスに行く途中ですれ違ったよ、灯歌ちゃんの言ってる4人組と。すぐにわかった。あの人たち、昔からああやってつるんで遊んでるから」

「パペちゃん、知ってるの?」

「同じ小学校だったから。あの人たちも中学からの編入組」

「そうなんだ…」

葵ちゃんが少し戸惑った風にまばたきをする。そんな様子をパペちゃんは気にもしていない様子。だけどきっと気付いているんだろう。

そう、パペちゃんから小学校の頃のことを聞くのはこれが初めてだったから。だからつい、その可能性を考えてしまう。


……もしかして、…


それが音になっていたのかはわからないけれど、パペちゃんは言った。


「あの人たちは昔から人が一番知られたくない所を見つけるのが得意でね、それをネタにして遊ぶのが好きなんだよ」


パペちゃんの重い口が、今、開いた………―

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