つま先立ちの恋
私がぶるぶると体を震わせていると、明人さんは明らかな吹き出し笑いをした。目尻に刻まれるシワが今日はものすごく意地悪に見える。

てゆーか、やっぱりこの人、意地悪だよ!!

「素直だなぁ、灯歌チャンは」

「なっ…馴れ馴れしく呼ばないでください!」

もう…バクバクしている心臓が怒りのせいなのかドキドキのせいなのか、サッパリわからん!!

てか、ドキドキって何だ私は!

こんな人にドキドキする意味がわからん!!

膨れっ面を隠しもせず、私はとりあえずシートに深く座り直した。フーの車と同じ座り心地だ。それだけが今の私の心の拠り所だった。

そこに私が身を預けていると、


「冬彦サン、そんなに怒るかな?」


ちらりと目を明人さんに移すと、明人さんは正面を向いたままの姿勢でいた。だから、私も前を向く。

「怒ると思います」

絶対に…。

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