つま先立ちの恋
驚いて顔をそっちに向けると和泉が、

「4月からもよろしくな」

そう言って笑った。


いつもの自信満々の、子どもみたいな笑顔じゃなくて。

私の髪に触れた和泉の手は大きくて。

その手が離れた時、残った暖かさに驚かされた。


なんか悔しくなってきて和泉を睨むと、

「腹減ったな。早くマック行くべ」

なんかはぐらかされた気がしてますます悔しくなってきた。
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