つま先立ちの恋
いつも口数の多い和泉が珍しく何も言わないことも、私にとっては居心地が悪かった。和泉も応援合戦の余韻を引きずってるのかな。

私は充電し終わった電池を手に、こっそり和泉の様子を盗み見ようとしたら、うっかり目が合ってしまった。

和泉は無表情とも取れる顔のまま、私を見てきた。

だから、なんで私が緊張しなくちゃいけないのって話だよ。


「あ、あれだね。すごい迫力だった。和泉もやるじゃん」

「あぁ」

「いいなぁ、なんで女の子はないんだろ。私もやりたかったのに」

「灯歌、学ラン似合いそうだな」

「でしょ? 私もそう思う」

「着てみる?」

「…う、?」

「ほら。」

和泉が自分の学ランを私の方に放り投げた。

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