姉弟道
「ごちそうさま」

樫野がちゃぶ台のうえに空っぽの丼を置いた。

俺はまだ食べ終わってない。

と言うか、食べる終わるの早過ぎねーか?

食べ終わるのが遅過ぎる俺も俺だけど。

樫野は汚れた口元をハンカチで拭いた後、
「ねえ、梓くん」
と、俺の名前を呼んだ。

「今週の日曜日、空いてない?」

そう言ってきた樫野に、
「何で?」

俺がそう聞き返すと、彼女は恥ずかしそうに頬を紅くした。

それだったら言うなよ。

頬を紅くするくらいなら、言わない方がまだいい。
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