~天使はふたたび舞い降りる~

花瓶

中村の入院のことを奈楠に
言うか迷っていた。
確実に死に向かっている
中村と
もしかしたら
この先にある恐怖なのか


奈楠にはこの現実を
見せたくなかった。



中村がどんなに
悔いのない人生だったかとか
そんなことを
知らない奈楠にとっては


痩せこけて
ベットに横わたり
苦痛に顔を歪める
中村は
やはり
つらすぎるのかも知れない。




その横で
見守る亜恋・・・・



俺は見なかったことにした。




  がんばれ…中村さん


  がんばれ!!亜恋ちゃん



そう心で叫ぶしか
できない・・・
情けない男だった。
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