~天使はふたたび舞い降りる~
絶望の形
俺は林を乱暴に引き離した。

「奈楠!?しっかりしろ!!」


「やだ…帰って…
どうして連れてくるの……」


べたついた髪の毛からは
すさんだ生活の臭いがした。


「奈楠、かえろ?」

奈楠は激しく首を振った。


「な?お前の知ってる女じゃないだろ?」

林が俺の肩を握った。



その手を思いっきり振り払った。
林が倒れた。


「触んな!!ケダモノ!!」


「行くぞ、奈楠!!」


奈楠は激しく抵抗した。


「やだ!!やめて~~~~!!」


「どうした?」


「もう帰れないから・・・・
奈楠は死んだってあきらめて…
それが私のためだと……」


毛布を頭まですっぽり隠してしまった。


「奈楠・・・・
勇気を出さないと
おまえはここから出られない
このままこいつと
一緒にいるのか?」


毛布の中で

泣きじゃくる声がした。


「奈楠!!
しっかりしろよ!!」


その時俺の頭に衝撃が走った。
俺はそのまま意識がなくなった。
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