東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~


「おいおい、どうしたんだ? 高校生にもなって大声でわんわん泣いたりして」

「ヘンなメールが送られてくるんだ……いっぱい……いっぱい……」

あたしは“ひっく、ひっく”と嗚咽(おえつ)しながら言った。

「もしかして……いじめられてるのか?」

パパはそう言って、背後から抱き付いて腰に回しているあたしの手を、そっとやさしく握ってくれた。


友達は自分の父親のことを「キタナイ」とか「ウザイ」とか言ってるけど、あたしにはそれが信じられない。

「パパ、ダイスキ♪」

…って、みんなの前でも声に出して言えると思う。


「ねぇ、パパ、また海外に転勤する予定とかないの?」

「えっ…?」

驚いたように、すっとんきょうな声を上げるパパ。

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