東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「あたし、ニッポンなんて大嫌い。ニッポン以外ならどこでもいい。エジプトの砂漠でも、アマゾンのジャングルでも、北極でも南極でも、どこでもいいから、とにかく、あたし、外国に行きたいよぉ」

思いっきり甘えた声を出すあたし。

「こないだ日本に帰ってきたばかりだろ? しばらく海外赴任はないと思うぞ」

「え~、ヤダ。じゃあ、あたし、ひとりで海外留学していい?」

「愛が大学生になったら考えてもいいかな」

「え~、今がいい。今すぐこんな国なんか出て行きたいよぉ」

「高校卒業まで、あとたったの1年とちょっとじゃないか。しばらくはガマンしろ」

「やだぁ」

「やれやれ……何度も同じことを言うようだが、愛は、その“going my way(わが道を行くの意味)”なところを、少し治したほうがいいと思うぞ。そしたら友達だって、みんなお前を受け入れてくれるさ」

パパは現実を知らなすぎる。現実はそんなに甘いもんじゃない。

「ダメだよ、この国は。島国根性まる出しで、よそ者を受け入れようとはしないんだから。もしかしてニッポンって、まだ“鎖国”してるんじゃないの?」
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