東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
× × ×
翌日、指定された場所に行くと、まだユーの姿はなかった。
とりあえず個室に入って待つこと数分…、
「あのコ、もう来てるよ♪ どぅする? もし中でキバってたりしたら。フフッ…♪」
外から聞こえてきた耳なじみのある声に、慌てて個室を飛び出すあたし。
すると、そこにはキクチ・ヨーコと、彼女の後ろに隠れるようにして目を伏せているユーの姿があった。
「ユー……どうして、お菊まで…?」
「バトンタッチするんだって♪」
ユーではなくキクチ・ヨーコが答えた。しかもいつもは古い日本人形のように無表情の彼女がヘラヘラと薄ら笑いを浮かべている。
「バトンタッチ…?」
「“トイレのイサミさん”は今日で卒業ぉ♪ おめでとぉ♪ これからは“トイレのクリスさん”にバトンタッチぃ♪」
なぜかハイテンションのキクチ・ヨーコ。
「ねぇ、ユー……教えて?」