東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「さっきクリスが“賭けに乗った”って言った時点で成立はしてるさ♪ 楽しみだなぁ♪1週間後、クリスがスッポンポンで渋谷駅前のスクランブル交差点を逆立ちして歩いてるのが見られるかなぁ♪」
「フンッ、勝手に楽しみにしてれば」
どーせ、今夜0時であたしは死ぬんだし、もし仮に、万が一、何かの間違いで、来週まであたしが生きてるようなことがあったとしても、ラジオでメールが読まれるはずなんて100%ゼッタイないし、すでに賭けはあたしの勝ちに決まったようなもの。
「お前さ、ハラ減ってんじゃねぇのか?」
「え…」
あたし的には、まったく予想外の彼の発言だった。まさかここでゴハンのハナシになるとは思わなかった。
「ニンゲン、ハラが減ると機嫌が悪くなるからな。よし、今からどっかメシ喰いに行こうか? さっきチケット代にまわそうと思ったカネがあるし“最後の晩餐”だ。好きなもの、たらふく喰わせてやるよ」
「ホントにぃ~っ♪♪」
気が付くとテンションが浮上していた。