東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
さっきまでのハイテンションがウソみたいに今は凹んでいた。
夢の空間だったライブハウスから一歩外に出た瞬間、イッキに現実の世界に引き戻されたみたいな感じだった。
「じゃあ、俺と“賭け”をしようぜ♪」
「賭け…?」
「1週間後の土曜日午後9時半、もしもラジオでメールが読まれなかったら、お前の勝ち、そんで読まれたら俺の勝ち。負けたほうは勝ったほうの言うことをなんでも聞く、たとえそれがどんな無理難題だったとしても」
「いいよ。その賭け、乗った」
あたしは即答した。
「負けたら、あたし、なんでも言うこと聞いてあげる。なんならスッポンポンで渋谷駅前のスクランブル交差点を逆立ちして歩いてあげてもいいよ」
「おっ、スッゲェ自信だな♪」
「…ってか、1週間後なんて、あたし、この世に存在してないし、そもそもソノ賭けじたいが成立してないから」