東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
ビィーン、ビ…


それと同じタイミングで、ヤケに中途半端な感じでバイブが止まった。

でも電話が切れたのとは違う。ケータイの画面が真っ暗になっている。

「残念デシタ、電池切れ♪」

クチではそう言ってるけど、あたし的にはちっとも残念じゃない。

「だったら俺のケータイ貸してやるよ」


「もういい! あたし、先にシャワー浴びてくるから!」


彼の意外なしつこさに、いーかげん辟易(へきえき)したあたしは、ツカツカとバスルームのほうに向かった。


「いい? ゼッタイのぞいちゃダメだからね!」

そう言って念を押すと、バタンと乱暴にドアを閉めるあたし。


考えてみれば、次にシャワーを浴びるのはたぶん彼に抱かれたあとだと思う。…ってことはこれがオトナの仲間入りをする前に浴びる最後のシャワーなんだと思う。

そう思うと、ただのシャワーも感慨深いものになるから不思議だ。
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