東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
今度はあたしが立ち止まってしまった。

「急ごう、クリス。生物の先生は怒ると怖いぞ」

「う、うん…」

ロムに続いて歩き出したけど、まだショックから立ち直れないでいるあたし。

だけど、こんなことで落ち込んでいる場合じゃない。


「あのさ、もし、どぅしてもコクる勇気がないんなら、告白なんてしなくてもカノジョをGetする方法があるよ」

「え…?」


「なにもワザワザ勇気を振り絞って告白なんかしなくても、あたしがロムのカノジョになってあげるよ♪」


「く、クリスが…? こんなときにふざけないでくれよ」

“ふざけてなんかないよ”

ココロの中で、つぶやいた。

ロムには悪いけど、あんなオンナ、ロムにはふさわしくないと思う。

あのオンナには見る目がない。ロムの値打ちが分からないんだ。あたしならロムのやさしさ全部残らず受け止めて、10倍返しで愛してあげるのに……。
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