【短編集】僕達の夏
「それだけ君にとってコーヤは大切な存在なんだよ。コーヤだってそう。彼の強すぎる光りは彼がどうしようと耐えられない子が出てくるの。今の泰斗みたいに。」


あいつが、晃矢が大切な存在……

「泰斗がいるから周りの人達はコーヤの光りに耐えられる。コーヤだって一人じゃ輝けないんだよ。それにね。」

そう言って風理は僕の顔を覗き込む。


「色素欠乏症って知ってる?」

「…生まれた時から体中の色素がない状態て生まれる?」


まぁそんな感じ、と言って風理は続ける。

「あの子達はね、太陽の光には耐えられないの。太陽の光は強すぎるから。そんな子達が外に出ることが出来るのはね、夜間、つまり月の下だけなんだよ。」



その言葉は耳に心地良く、痛いくらいに胸に染みた。


「誰も泰斗の事を見てないなんてあるわけないの。どこかの誰かが、確かに泰斗に救われてるはずだよ。」


いつの間にか流れ出た僕の涙を、風理はひやかしたりしなかった。
僕の中に、この世界に、確かに僕は存在するんだ。


そう思ったら、胸が潰れそうなくらい嬉しかった。
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