【短編集】僕達の夏
「彼女は、父親が迎えにくるのを、ここでずっと待っているんです。」



 その歌声は、とても綺麗で、透明で、胸が痛くなるほど優しかった。






「曖昧で…しっかりしてて…儚くて…強い…。むー…ん。」

今だに纏まらない答えを探して呪文みたいにぶつぶつと呟く私にリリーが帰り際ため息混じりに言ってくれた。













「自由になりなさいな。自由に。もっと一つ一つをほぐした目で見る事よ。全く、頭の固い子だわね。」












 また考えにふけりながら歩いていると、いつの間にか家の前。
帰ってからの事はよく覚えてないけど、朝起きた時はやけに頭がすっきりしてた。
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