かくしご
 慌てて、洗濯でぬれた手で信子を受け取り
近所の外科に走った。

 大変な事になった。 
夫になんて思われるだろう。
そのことばかりが気になった。
泣いている信子の身体は、
火の玉のように熱かった。
顔を覗き込むと 何か所か血がにじんでいる。

 「先生! うちのこの顔に傷が残るでしょうか?
  なんとかしてください。」 
先程まで考えていたこととは裏腹に 
外科の先生に涙を流しながら、懇願した。

 そしてそのまま、公衆電話から、
会社にいる夫に電話をした。
 「あなた。 ごめんなさい。
 信子に怪我をさせてしまいました。」

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