『私も歩けばイケメンにあたる♪』
『素直にそう言えば』
帰りの電車の中で、雅の言葉を何度も考えた。
私のために、苦労している母を思えば、
再婚が嫌だなんて、口が裂けても言えない。
だって、
水沼さんと一緒にいる母は、
”女”
の顔をしていたから。
この十数年一緒にいて、一度も見たことがない晴れやかな表情。
母は、母でしかないとずっと思い込んでいた。
それが、
たった一日水沼家で過ごしただけで、母は
”母”
という生き物ではなく、一個の
”女”
という生き物だったんだと、認識せざるを得なかった。
『素直にそう言えば』
よし!
決めた!
今の私の気持ちを、お母さんに聞いてもらおう!