『私も歩けばイケメンにあたる♪』
うつむいたまま、何も言わない私に、
さっきまでとは違う、落ち着いた声で雅が聞いてきた。
「・・ひょっとして、
あのこと気にしてる?」
「・・うん、ちょっとね。」
小さな声で、私は答えた。
雅とは、家が近所だったこともあり、小さい頃から仲良しだ。
だから、雅は、中学に入ってから仲良くなった他の友達が知らない、
私の小さな秘密を知っている。
私のコンプレックス。
「大丈夫だよ。
ひかりのお母さんは絶対、ひかりのこと軽く扱ったりしないって!
たとえ再婚しても、ひかりのこと忘れたりしないよ。
今度のことだって、ためしに相手の家に住むってことで、
ちゃんと、あんたの意思を尊重してくれてるじゃない?
もし、どうしても嫌だったら、
素直にそう言えばいいんだよ。」
「うん、ありがとう。」
・・ありがとう。
ココロの底から雅に感謝した。
こんな素敵な友達がいて、私は本当に恵まれているんだって
・・・実感した。