『私も歩けばイケメンにあたる♪』
口の周りに白ひげをはやしたまま、硬直する私にかまわず、
母は続ける。
「水沼優一(みずぬまゆういち)さん
って言うんだけど、
すご~くかっこよくて、
すご~くお金持ちで
すご~くやさしい
人なのよ~。
あ、息子さんが3人いるんだけど、
ひかりもきっと気に入ると思うわ!」
目じりのシワを、すご~く深くしながら
あ、もとい、
恋する乙女のまなざしで
母は
すご~く
を強調する。
最後の息子が3人いること以外は、
完全に母の思い込みだろう。
でもとりあえず平静を装って
ふ~ん、と頷いてみた。
「でね、
お互い子供もいるし、
3ヶ月のお試し期間を作って一緒に住んでみようって
ことになって。
ひかりの卒業を待って一緒に暮らすことにしたから。
今日の卒業式終わったら、そのままあちらに行くからね。」
「・・・・・ぶぅっっ!!!!」
私は、
再び盛大に牛乳をふきだしてしまった。