The Last Lie
『それを聞いてどうしたいのよ』
『だって気になるじゃん!伊川君だよ、伊川柚杞。
あんな冷たそうな人とこんな手のかかる樺乃が付き合ってんだから気になるわよ、伊川君ならより取り見取りなのにさ』
さらっと超失礼な事ばっか言ってやがる!
確かに柚杞は女の子に人気あるけど!
一年の体育祭ん時も黄色い声援すごくて本当びっくりしたけど!
『気の迷いかと思ってたけど、もう一年だしー
何をどう思って樺乃を選んだのか』
哀れみも含んだような口調でため息と同時にそんな言葉を言われたとあっちゃ黙ってはいられない。
『だから、普通だっつってんでしょ!!』
私が少し声を張り上げて睨んでも、麗はその哀れんだ表情を崩さずに『まぁ、現実から目を反らしたままでいられるならいたいよねぇ』とかほざく始末。
……殺。
だけどこれ以上血圧あげてなんかいられないと思って前に向き直ったら、
『ねぇ』
『………』
『樺乃』
『もー今度は何ですか?』
またもやしつこく話かけられる。
でもいい加減ムカついて足も止めずに進んでく私に、
『じゃあ…私何にも心配する必要ないんだよね?』
さっきとは打って変わって真面目な声でそう聞く麗に
『うん、全然ない』
振り返りもせずに私はまた一つ嘘をついた。
ごめんね、麗。