鬼畜な俺様執事


久しぶりの朔夜の手は温かくて、優しくて、私は自然と笑みがこぼれる。



少しだけ前を歩く朔夜がとても頼もしい。



公園を出て、青い小さな車へ近付いていく。



「朔夜……車買ったの?」



呼びかけた私に、少しだけ顔を背けながら朔夜は言った。



「綾香の執事をした金とバイクを売った金で買った。

バイクじゃ綾香が大変だろ?」



女から貰ったわけじゃないから、なんて珍しく言い訳めいたことを言う。



ふと車から朔夜に視線を戻すと、耳が赤い。



私はそんな朔夜が愛しくて、繋いだ手をそっと握った。


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