鬼畜な俺様執事
朔夜は、車の助手席のドアを開け、私を促した。
いつも後部座席に乗っている私は、少し緊張する。
そして私が乗り込んだ後、車の後ろを回り込んで、朔夜が運転席側に乗った。
「どこに行きたい?
綾香の望むところ、どこへでも連れてってやる」
「……水族館」
本当なら思い出の場所である海へ行きたかった。
でも岡谷さんがついてきていることを考えたら、海へ行くのは嫌だった。
朔夜が静かに車のエンジンをかけた、その時。