鬼畜な俺様執事


朔夜は小さく咳払いをして、ゆっくりと私との間に隙間を作っていく。



どこまでも広がる海と空に、二人ぼっちの世界を感じた。



朔夜は私の左手に触れて目を閉じ、軽く息を吐いた。



そして私の左手を持ち上げ、薬指の付け根にキスを落とした。



ひどく儀式めいた所作に、私は息をするのも忘れてしまう。



朔夜の伏せがちな瞳に長い睫が影を落とす姿は、彫刻のように美しいと思った。



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