鬼畜な俺様執事


私の手から唇を離した朔夜の呟きを、一陣の風が掬っていってしまった。



思わず聞き返した私に、朔夜はちょっと意地悪な顔をして、耳元へ唇を寄せた。



「予約したって言ったんだよ」



一瞬、朔夜の言葉がわからず、私はきょとんとした顔をしたらしい。



朔夜はそれに呆れることなく、ただクスクスと笑った。



徐々に言葉の意味を理解し、一気に私の顔が熱くなる。



嬉しい。

真っ先に浮かんだ感情はそれで。



恥ずかしい。

次に浮かんだ感情で、私は両手で顔を覆った。



胸が、顔が、熱くなる。


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