あたしと彼のオトナな契約
「あー。 晋也さん? すんません。 あーハイ。 ハイ…じゃあ今から。ハイ」
晋也さんの声は、最初の怒鳴り声のあとは全く聞こえなかった。
弘明が勝手に晋也さんと話を進めて、勝手に切って、そのあたしの携帯を返してきた。
「今から迎えに行くから急いで仕度しろって。 那奈がいねぇと話になんないってさ」
そうか、今回の会議の話は次のキャンプのこと。
あたしはそのキャンプで、大学生代表になってるんだった。
あたしは申し訳なさそうにコクンと頷くと、ガタガタと支度を始めた。
弘明はしばらく黙ってその場に立ってボーっとしてたけど、はっと我に返ったように
慌ただしく自分の部屋に戻って行った。