Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


「…お父さんと付き合う前は
それなりに男友達はいたんだよ

お母さん
バンドもやってたし
結構、モテてたんだから」

「…想像がつきません。」

私が台所の椅子に移動して
漬け物をつまんでいると
お母さんの手が飛んでくる
…今のは絶対、八つ当たりだ


「…そんなモテてたのに
何でお父さん選んだのよー」

「お父さんの良さはねえ…
ある程度、大人の女性にならないと
わからないんだなあ」

「…ユリちゃんが
うちのお父さん、カッコ良いって
よく言うよ」

「うわ!!マジで?!
凄いなあ、ユリちゃん
やっぱり家が商売してるから
人を見る目が肥えてるのね〜」

「………よくわかんないけど
私が判らない事
よく言う」

「…アンタも
ヘンな所、気が付いたりするけどね
さっきのヒロくんへの
お揃いのとか
野外の時の、携帯とかさ」

「…あれも
ユリちゃんがやってて…真似した」

「あはははは
そっかあ!ユリちゃんのお母さんも
あのバンド、若い頃好きだったみたいよ

追っ掛けとかしてたみたい」

「追っ掛け?!」

「うん
…まあ、曲聞こえて来た時
あの時に戻ったみたいになったよ
あの後、お父さんと二人で
久しぶりに、CDかけて
コンビニ行って…

今年は二人で、
どっかコンサートに行こうか〜なんて
話もしたよ

…ありがとね」



皮を剥かれたジャガ芋と、人参 、玉葱

ずっとそれを鍋で炒めながら
そういわれて

あれはそんな重大な事だったのかと
驚いた


…お母さん達、仲良いけど
二人でコンサート行くなんて
見た事なかったから



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