Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
…そうなんだよね
『彼』は、何となく
普通のお父さんしてるイメージが
湧かない
お父さんの中学の
アルバムみた時は
"ああ、
こういう人っているよねー!"みたいな
将来、良いお父さんになる匂いが
すでにしていた
…居間に座ってても
玉葱のせいで、涙
お母さん本人は
通販で買った、
変なゴーグルみたいなのして
玉葱からの攻撃を、阻止してる
まな板と、包丁と
鍋も付いていて、あれはかなり
お得だったと思う
「…お母さんさ」
「うん」
「何で、お父さんを
好きになったの?」
「……そんな質問、初めてだねえ」
「…そうだっけ…」
「そうだよ〜
小さい時から、アンタ
テレビの人とか大好きで
毎回違う人と結婚するって
言ってたんだから
お父さんと結婚する!とか
一言もなかったわよ〜?」
「…な!
だってお父さんはお父さんだし!」
「変な所醒めてるからねえ
あんた」
お母さんは笑いながら
肉から、鍋に入れてる
……肉、柔らかいのに
固いものから、炒めるんじゃなかった?