Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
少し、風がふいて来て
風鈴の影が、窓で揺れた
「マキちゃん、少しクーラー止めて
窓、開けてもいい?」
実は暑いほうが、好きだけど
汗をかくのは、かなり嫌だ
「うん」
窓を開くと、風のにおいが、しょっぱい
でも、居間のあかりがさした庭が
下に見えて
前を向くとお隣りの家だ
どうせなら波の音がする位
海に近ければよかった
「…小学校五年位、かなあ
その日、親が出掛けて留守で
アニキがバンドの練習に
連れて行ってくれたのよ
私、すごく人見知りする奴で
大学生の、
見上げる様な大人ばっかりで
怖くてさ…」
「うん」
「そしたら極めつけに
あの長身が出て来て」
「アハハハ」
「…み〜んな
真上から、見下ろして笑ってる中で
一人だけしゃがんでくれて
『こんにちは』って
言ってくれたの」
――… 何となく
その情景が、目に浮かんだ
「おぉう…
それはポイント高いですよ」
「アハハ 判って貰えてよかった
それからすぐ練習始まったんだけど
かっこよくてね〜…
1番上手いのが、子供でも解った
こんな人と友達なんだって
そこから心底アニキを尊敬した」
「えええ?!
それまでのアニキは何だったの?!」
「…遊んでくれないし、
外で友達とばっか遊んでるし
可愛がられて文句言ってるし
何この人って」
二人で大笑いする
「…そこから洋楽聞いたり
アニキにギターの事聞いたり
それまで殆ど話す事なかったのに
仲良くなるキッカケにも
青山さんはなってくれたの
…いつか
一緒に演奏してみたいなあって
……結局、
叶わない夢になっちゃうけどね…」
「マキちゃん…」