Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


「えー 出張版
"天上のエクレシア"にようこそ!
一応、この企画は
池上が立てました。
女子更衣室の冷蔵庫のチョイスは
奴です。」

「やっぱりー!」

彼女はケラケラ笑って
納得したように、青山さんも笑った

「池上来るって言ってたよね」

「おう 夜中に着くって言ってたから

…取り敢えず
マジで仕事とか関係なく
皆で集まるのは……
ホントに数年振りです

色々感慨深い所もあるし」


…少しアニキが上を向いた
そしてまた、話し出す


「…こんな話するのは
野暮かもと思うし
初だけど

変わらず、皆とこうやって会えて
本当に嬉しいと思う

……アズル
ホントにありがとう

オマエが居なかったら
…生きる為の努力をしてくれなかったら
今、ここに居るオレ達は無いです

多分、人生ダメになってたと思います」


「まさか」

『彼女』が目を見開いて
首を振る


「…まさかじゃないんだよ
アズル

青山は、まあ、荒れてたし
池上は「日本に居るのが辛い」って
全部捨てて逃げたんだ

オレはオレで……

まあ、

……傷はさ
抱え込んでると、腐る

痛くても、風に晒さないと
いつまでも、乾かない

…アズル
オマエが受けた傷は
調子に乗った、オレの責任でもある
野音に出ようなんてオレが言わなければ
起こらなかった事なんだ

……青山 アズル
本当に…すまない………!!」


―――アニキが
床に手を着いて、土下座した

慌てて青山さんがお湯から出て
「…やめろ」と
アニキを立たせようとする

……アニキは涙を流していて
唇を噛んでいた

「…だってさあ…
マジでそうなんだって
有頂天になって
このバンドならって……」

「それは同じだよ 真木…」

「…喰らわせなくて良かった時間
オマエらに味合わせてさ…

オレ、オマエら見てるの
最高に好きなんだ
今、オレ、が、やってる仕事、
罪滅ぼしにもなんねーよな…」


「クウヤ」

『彼女』がお湯から立って
二人の方に、体を向けた






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