Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


私はどうしていいかわかんなくて
ただ固まってた
……言い方悪かったかもしれないけど
ホントの事、言っただけなのに…


下を向いていたら

『彼女』が
一旦彼を追いかけようとしたけど
ザブンとお湯に入って
私の側まで近付いて来た

そして、私の手を握る

「…あのね ユカちゃん
灰谷くんは、他の女の子の話
した事ないよ

仕事が仕事だから
かなり知り合う機会多いけど
全然なんだよ

…ベースの時も
まず最初に、ユカちゃんの事
心配して
私の所に、電話かけて来たよ

…いきなり会いに行ったら
キモいかなって

毎日
電話かけたりする様な子じゃないけど
気にしてるよ

言葉、ちょっと短縮し過ぎだし
不器用だけど
それだけは解ってあげて」


……潤んだ碧い瞳で
そう必死に力説されてしまって
一気に気が抜けてしまう
…と言うか
ドキドキして来てしまう

…何なんだ私は!
美形に弱いだけ?!

なんか顔が真っ赤になってしまって
思わず目を逸らしてしまう


池上さんが声をあげて笑ってるし
アニキもお酒を飲みながら
笑いを噛み殺してる

青山さんは
困ったみたいな
おかしそうな笑顔をして
私を見た



「…追い掛けてやって」

青山さんがそう言う

アニキは
「えー?!逆効果じゃねえか?」

「…奴は孤高の人ってわけじゃないよ」

「うん」

『アズさん』まで、そう言う


私は
その言葉に押される様に
急いで、お湯を出た






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