Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


バスローブに着替えて
慌てて脱衣所から出る

直接ログハウスに行ける扉があって
そこを開いて、急いで走った

着いたのは
ログハウスの中庭

天井までのガラス張りで
サッシを開くと、目茶苦茶涼しい

吹き抜けで、天井の高い
ダイニングのテーブルには
ローストビーフとか
トマトの煮豆とか
スコーンが山の様に乗っている

ワインは冷やされてて
氷が溶けて、カタリと鳴った

音楽は、カントリー


右の台所にも
左の大部屋にも、『彼』の姿が無い


「…… 二階 ?」

木の階段をあがる途中には
吹き抜けの上から下げられた
シャンデリア


―― 音がする

二階の1番奥


ノックをした

……返事ナシ。


静かにドアを開けると
正面に『彼』の後ろ姿があった

十畳くらいのフローリング
ソファーがあって
左にはベランダ

…デカい画面のテレビで
なんかゲームしてる


私は、横に座ってみた

「…電気つけないでやると
目、悪くするよ」


……何にも言わない


画面を見ると
RPGっぽい、どっかの街
すごい沢山人がいる


『彼』が弄ってる
キャラクターの名前は"Teri"

「…なんでTeriなの?」


『…テリヤキバーガー食ってる時に
作ったから』

「…安直すぎない?」

『…じゃあお前はゲームキャラに
何てつけてんの』

「別に普通に…ユカとか
家族の名前入れたりとか…」

『…ありがち』

そう言って
少し『彼』が笑った

「ここ何なの?お店?」

『…市民競売場
この世界のキャラ達が
不要品とか、生産品とか出して
一番高い値段つけた奴が
それを手に入れる』

「オークション?」

『…そんな感じ』

「…LEVEL85とかって…
なんか目茶苦茶あんた
レベル高くない?」

『…最高レベル100だし
最近あまり時間無くて
やってなかったから上がってない』


『彼』が誰かに声をかけられて
お辞儀されてる

だけど。喋ってる感じが
普段の『彼』と、全然、違う

そりゃそうか…
文字だもんね……




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