Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



無言のままの 青山さん

『彼』が私に
視線を運んだ



それを追って、二階へ



アニキがベランダから
下を見た部屋に入ると

あんなにヘベレケだった筈の二人が
きちんと起きていて
酒盛りの続きをしていた





「…よう 二人はどうよ」

アニキが胡座をかいたまま
ビールを飲みながら
サラミを丸ごと食べている



『…青山さんは
贖罪の権化みたいになってるから

後は二人の気持ち一つだけど

……アズはアズで
このオフを過ごしたら
青山さんから
離れようとしている様に見える』


「……なんで?!」


思わず声をあげてしまった


「…思い切り
甘えてるもんなあ、ボウズ…

なあ ユカちゃんさ」


「は、はい!」


「…もしも だ

オマエが、これ以上無いって程
相思相愛の奴が居て
ソイツを狙った奴から、その男を庇い
…刺されたとして

さあ、怪我が治りました。

その後 ……どうするよ?」



「…どうするって
相思相愛なんですよね?」

「思い切りな」


「…じゃあ
何にも問題ないじゃないですか」

「……だよなあ」


『…コイツに聞くのが間違いだよ
空哉さん』

「なっ!」


『…じゃあ
その間、ソイツとの記憶が消えてて
思い出した時には
新たな彼氏が居た場合は?』


「…………
付き合ってた期間は?」


『…チャットで二ヶ月
実際会ったのは三回』


「…意味不明なんだけど」


アニキは笑いながら
"コイコイ"と
お酒を飲んでいるベランダ近くの卓に
座布団をひいてくれた



「まあ そうなんだけどさ

…リハビリしながら
ひとりぼっちで頑張ってた時に
オンラインゲーム始めてな

…そこで友達が出来て
楽しい交流とかあって
だいぶ救われたらしい


んで、知り合ったのが
今の彼氏みたいでさ

あのコンテストの日が
会って二回目とか言ってたか

…全部話しては見たらしいけど」


「…あんたが、言ってた人?」

『…そう』





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