Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
気が付くと
マキちゃんも、それを見つめていて
私の視線に気が付くと
かなり切なそうに、笑った
『一瞬で解るね あれは』
そして『失恋だーーっ』と叫んで
ギターを掻き鳴らした
マキちゃんっぽくない行動で
ちょっと驚いたけど
これもマキちゃんなんだろうと
そう、思った
ユリちゃんは
『生アズヤバイよ〜』と
少し震える声
マキちゃんも『…うん』と呟く
シノは、
アズさんが居なくなった今も
扉の方を黙って見つめていて
ポツリと こんな事を言い始めた
『……アズライトの
生歌、聞いてみたいな…』
私はそのシノの
大胆発言に、びっくりして
『えええっ?!
ウチらのバンドと一緒に
今、やれって事?!』
『うん …無理かなぁ 』
『……きっと、言えば普通に
やってくれると思うけど…』
『結構一緒にいたんでしょ?
ユカ』
『…いたけど さ…』
――――――― 負ける
何で同じバンドでやるのに
負けるなんて言葉が浮かんで来たかは
自分でもよく、わからないんだけど
……咄嗟に出たのは、その単語で
そしてもう一個
これはアズさんと"友達"になったから
思い浮かんだ言葉で
――海から出た時
アニキが"泳がせ過ぎたか"と
少し心配してて
青山さんが、タオルに包んで
しばらく、暖めてた
…アズさんはきっと辛くても
私達が やってって言ったら
きっとやっちゃう
体が、心配だった
『…そういえば
緑川さんに、ヴォーカル捜したらって
言われた
マキちゃんが、
居ないから歌ってるの
…まんまとバレてたよ』
『 うあ 』
『う〜ん…結局…
リナ戻って来なかったし〜』
ユリちゃんが
ポーン、と
高いドの鍵盤を鳴らした