Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



『そういえばウチら
実はかなり、閉鎖的だった?
一年あったのに
他のメンバー入れるとか
全然話なかったもんね…』


私がそう言うと
マキちゃんが笑いながら答えた


『ヴォーカルやらせてー!は
実はかなり、あったのよ』


『 マジで?! 』


『…私には声かけづらかったみたいで
シノは色々な人と面識あるから
言われてたみたいなんだけど』


『でもシノちゃん
片っ端から、追い返しちゃうんだもん〜』


『な、なんでさ!』


『えー だって
"楽器ないです!!
え?!自分で買うんですか?!
みたいな人しかいなかったんだもん

――いっとくけど
私は今、受験勉強してるけど
それは大学っていう
新しいフィールドに行く為にだからで

皆はどう思ってるか判らないけど
バンド辞める気なんて
これっぽっちもないよ

趣味でやるつもりもない

だからそういう、趣味感覚で来る人とは
やる気、ないんだ』


……… シノ





『私も〜
大学は、地元の所通う予定だけど

シノちゃんが
東京で一人暮しするにしても
急行に乗れば、新宿すぐだし
週末は皆でスタジオ取って
練習すればいいだけだし〜』


『…シノ、東京で暮らすの?』

『……うん。
やっぱり今の家は
私の居場所じゃないから』

『…………』



『マキちゃんも〜
お母さんとの話し合い、
進んだんだよね』


『うん 私も、東京に行く』


『どうするの?!』


「…かなり親がかり、
アニキがかりで、カッコ悪いんだけど

―― 父親にも
東京で一人暮しするのには
賛成しかねるって言われて…

結局、アニキの借りてる
同じマンションに暮らす事が条件で
音楽養成の、
専門学校に行く事にしたの」



『………何だよおぉぉ
私だけじゃんーー
何にも決まってないのーー…』


『ユカちゃんも〜
私と同じ所、行くって言ってたけど
何か別の所、考えたとか?』


――私は黙って、首を横に振った






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