Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
『…普段はアズと青山さんは
今みたいに一緒にいるわけじゃない
今回は
野外イベントがあったし
オフで、特別だっただけ
でも火を着けるには
充分な出来事が沢山あったし
……岡田さんも
かなり油断してたんだ
"CheaーRuu"の映像とか
邦楽、元々聞かないし
青山さんが出てるしで
完全無視してて
アズは顔とか気にしないから
どんなにカッコイイ奴だろうが
…それと
基本、知らずに持ってた
自惚れもあった って
……でも青山さんの目を見て、
油断なんか出来ないって
"寒気がした、あんな事
初めてだった…"って
青山さんが本気なのは
充分、岡田さんにも伝わってる…』
「……だから、東京に…」
『…そう 』
「灰谷ー!!ヤキソバいいぞー!」
『…やった 』
緑川さんの呼び声に
『彼』は途端に立ち上がる
『…池上さんの焼きそば
マジで美味いから』
「ホント?!」
私も立ち上がって
紙皿に盛りつけながら
皆を呼ぶ池上さん達の、傍に走った
アズさんと青山さんが
二人並んで
またアズさんが青山さんに
焼きそばの中の肉を移動してる
青山さんも無言で
"その代わりに食え"と言わんばかりに
上に乗った目玉焼きを移動した
アズさんは
しばらく黙ってたけど
その目玉焼きを
また青山さんの皿に戻して
ダッシュをかました
「…あーずーる!」
青山さんは
戻って来なさいと、手で呼ぶけど
アズさんは随分遠くまで走って行って
一人しゃがんで黙々と
美味しそうに、焼きそばを頬張ってる
アニキが
「…ああいう所は
全くかわんねーな。野性児」
青山さんが、右手を拳にして
口元を抑えて笑う
「…目玉焼きは
一人一個、必ず食ってたんだ」
「あーー "ホットプレートで
食ってた"時期か」
「そうそう」
……私の判らない話
知らない過去が
まだまだたくさん、あるみたいだ
「緑くん
玉子だけもう一個、焼いてもらえる?」
「 合点!! 」