異次元の旅人(ディメンション トラベラー)
ヴィンセントはビックリして目を点にした。

「馬鹿野郎!!お前………お前がまだ平民なら俺は喜んで連れてってやるよ……だがお前は…………」

オレットも分かっていない訳ではない自分が消えたら国が騒ぎお父さんやお母さんだどれだけ悲しむかも。

「やっぱり………無理かな……」

さっき止まったはずの涙がこみ上げてきた。

「すまね~こればっかりは俺でもどうしようも無い。これでさよ………」

ある人の声がヴィンセントのサヨナラを遮った。

「連れて行ってはやれませんかな?」

二人が声の方に向いた。

「お父様!!お母様!!」

王妃の方も連れて行ってくれと頭を下げる。
ヴィンセントはため息を吐いて言い放った。

「良いんだな?俺はオレットを生きてまた此処に連れ帰る自信はないぜ?」

王も王妃も深く頷いた。

「娘がこんなに真剣になったのは初めてなのです。どうかお願いします」

「悪い言い方するが無料でか?」

旅費ならと王はお金を渡そうとした……
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